「都市xリゾート」2026冬季五輪で作る持続可能な社会
北京の感動から早4年、冬季五輪の時期がやってきました。
2026年は、イタリア「ミラノ・コルティナ五輪」が開催されます。
開催地の決定は7年前のIOC総会で決定することが多く、開催国に立候補した国はそれよりも前から招致に向けて計画を立てています。
世界中から立候補が上がる中で、2026年の冬季五輪がミラノ・コルティナに決定した経緯をスポーツビジネスの観点から解説していきます。
概要
ミラノ・コルティナ冬季五輪は、2026年2月6日~22日の間に開催されます。
8競技116種目が行われ、ウィンタースポーツの王者を決めます。
日本人選手は、前回大会の124人と同規模の出場選手数になる見込みで、多くの種目でもメダルが期待されています。
パラ冬季五輪は、3月6日~15日の間開催されます。
6競技79種目が実施予定です。
スノーボードやカーリング、スキーなど多くの種目で期待が高まります。
会場は、ミラノ、コルティナに加えバルテリーナ、バルディフィエメそして閉会式はベローナの大きく5つの地域で開催されます。
ミラノ、ベローナ以外は山岳地域に散らばっておりスキーやスノーボードなどの会場となっています。
ミラノはどんな街?
イタリアの北部の大都市で、ファッショやデザインの世界的な中心地となっています。
また、高級ショッピングやレストランなども有名で、ミラノ大聖堂など観光地として有名な都市です。
ミラノにはACミランというサッカーセリエAに所属しているチームが活動しており、サッカー人気が高い地域です。
さらに、モータースポーツの人気も高く他にもバスケなどさまざまなスポーツが盛んな都市です。
コルティナはどんな街?
ユネスコ世界自然遺産に登録されているドロミーティ山脈に囲まれた広くて美しいアンペッツォ渓谷に位置しています。
世界中から観光やスポーツを楽しむ人が集まるイタリア国内でもっとも有名な山岳リゾートです。
1956年の冬季五輪をきっかけに世界的な知名度を獲得し、イタリアの象徴的なリゾート地として発展しました。
近年では、毎年スノーボードワールドカップが開催されていたり、大規模大会の会場として定着しています。
地形を生かした様々なアクティビティが行え、上級者だけでなく初心者も満足できます。
また、雪景色を強みに様々なアクティビティを展開しています。

招致成功の秘訣
2019年のIOC総会で、スウェーデンのストックホルム・オーレとの一騎打ちを制して選ばれたミラノ・コルティナ。
開催決定の経緯や決め手などを紹介してきます。
IOCの政策
近年、五輪開催費用の拡大に伴い招致都市の減少がみられました。IOCは、コスト削減を重視し複数の都市・国での開催を推奨する「新規範」を導入しました。
札幌をはじめ、シオン(スイス)、カルガリー(カナダ)などが最終候補に残ましたが、立候補を辞退、断念し、最終的にミラノ・コルティナとストックホルム・オーレの一騎打ちとなりました。
結果、ミラノ・コルティナが開催地に選ばれました。
ミラノ・コルティナが選ばれた決め手は「コスト削減」「持続可能性」です。
開催地の決め手について詳しく説明していきます。
コスト削減
開催都市、会場を分担することで、各都市の経済的負担を軽減することができます。
また、既存の施設を活用したり仮設の施設を活用したりすることで、建設費を大幅にカットすることができました。
ひとつの都市で開催を試みた場合、既存の施設だけで開催しようとしても特別な設備が必要な競技があったり、円滑な大会運営が厳しかったりと制限があります。
それぞれの地域が得意な競技を開催することで既存の施設を有効活用することができるのです。
また、選手や関係者の宿泊施設も圧迫する可能性が低いと考えられます。
東京五輪をはじめ、近年の五輪では建設費や整備費が高く、結果的に赤字が続いていました。
パリ五輪では既存の施設を活用したことにより、黒字を記録しました。
ミラノ・コルティナ五輪でも黒字が期待されています。
大規模大会開催の課題を克服
大規模大会の際に建設された施設は、急ピッチで建設されることが多く大会後の利用を考えられずに建設してしまう場合があります。
そのため、大会終了後の維持・管理が厳しく施設の存続が危うい状態に陥り、「負の遺産(利用されない巨大施設)」が生まれることが社会問題となっていました。
しかし、既存の施設を活用した場合大会後も大会前と同じように利用できるため、施設の維持・管理の問題を解決することができました。
実際に、東京五輪で建設された施設の多くは維持・管理が非常に難しく「負の遺産」になりつつあります。
他の国や地域でもこのような事例が少なくありません。

持続可能性
大会開催後の施設管理やインフラ整備の問題が注目されるなかで、イタリアの招致メンバーは大会開催後も見据えていました。大会実施計画書にはミラノの都市計画にも触れ、例えば地下鉄の整備計画に加え、地下鉄の延長計画、道路の環状化構想などを言及していました。
このような大会開催後の計画が持続可能な大会を実現できると評価され、招致に成功しました。
また、大会施設の建設による環境破壊や排出ガスの削減なども持続可能な社会を象徴することに繋がります。
ミラノ・コルティナ五輪の特徴
先述した招致成功の秘訣をもとに、大会の特徴を解説していきます。
史上初 複数都市が名を連ねる
ミラノ・コルティナ五輪は、五輪史上初めて複数の都市が大会名に名を連ねます。
これは、JOCが複数の地域・国での開催を推奨していることを示し、今後の五輪の軸となる大会になることが考えられます。
既存・仮設利用90%超え
ミラノ・コルティナ五輪の最大の見どころは、「既存施設利用率」の高さです。競技会場の90%以上が既存の施設、あるいは一時的に設置される仮設市で津で構成されています。
新しく恒久的な施設として建設されるのは、一部のアイスホッケーの会場のみというコスト削減・持続可能性に徹底した大会を開催します。
開会式はイタリアの聖地「サン・シーロ」です。ここは、サッカーの伝説的な試合が行われてきたスタジアムです。
メインスタジアムを建設するのではなく歴史的なスタジアムをそのまま利用することは、持続可能性を象徴する大きな決断と言えます。
さらにミラノにおける持続可能な会場例として、「フィエラ・ミラノ」の利用です。ここは、普段世界最大級のデザインイベントや見本市が開催される広大なスペースです。大会期間中は、スピードスケートやアイスホッケーの会場として活用されます。
通常、スピードスケート用のリンクなどは非常に巨大な建物が必要になり、大会後の維持も容易ではありません。そこで、既存の巨大のホールの中に仮設のリンクを設置し、大会後は元の展示場に戻すという一時的な用途変更が行われます。

新種目!SKIMO
今大会から新種目として追加されたのが「SKIMO(スキーマウンテニアリング)」です。
山岳エリアに設定された上り下りを含むコースを、スキーで周回して戻ってくる時間を競うタイムレースです。
登りでは、スキーにシールを付けて登高し、下りはシールを外して踵を固定して滑降します。また、コースの一部の急斜面や岩場ではスキーを外して背負い、ブーツで歩行する区間も設定されています。
そのため、
スキーやブーツは軽量化され、レース用に特化したものを使用します。
SKIMOの会場は、ボルミオというアルプス地域です。
ボルミオでは2025年にSKIMOワールドカップが開催され、この大会は冬季五輪のテスト大会としても位置付けられました。
既存の環境を十分に活用し、既存の環境でしか行えないスポーツとして、注目が集まります。
課題
持続可能、コスト削減に特化し注目されるミラノ・コルティナ五輪ですが課題もあります。移動距離
開催地域が分散される一方、選手や観客の移動距離が長くなってしまいます。
例えば、ミラノで開会式を終えた選手が会場であるコルティナに移動すると車で5時間かかります。
また、冬季ということで道路の状況が悪く渋滞や事故のリスクも懸念されます。
気候変動
近年の地球温暖化により、冬季五輪の開催が危うくなってきています。
前回の北京五輪では、人工雪に頼った会場となり今回のミラノ・コルティナ五輪でも深刻な雪不足が懸念されています。
気候変動が与える影響は冬季五輪だけでなく、夏季五輪にも影響を与えます。
二酸化炭素の排出を抑えることが、持続的な大会の開催に必要です。
まとめ
いかがでしょうか。ミラノ・コルティナ五輪は今後の五輪開催の新たな指標として注目される大会となります。
五輪に限らず、持続可能な社会のためのノウハウを今回の大会から学んでみましょう。
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