地方で稼ぐ!スタジアム・アリーナの経営術
スポーツリーグのリーグ改革により、スタジアム・アリーナの基準が設けられるようになった今、全国各地で建設・修復ラッシュが続いています。
長崎スタジアムシティや、TOYOTA ARENA TOKYOなど多目的かつ複合的な施設が次々と誕生しています。
さらに、三河に誕生するアリーナをはじめ各地で建設に向けた計画が進んでいます。
スタジアムやアリーナが地域にもたらす経済効果は大きく、売上の増加だけではなく施設や施設周辺での雇用機会が生まれるなどといった、雇用機会の増加にも繋がります。
しかし、建設・修復にかかる費用は大きく、特に地方のチームにとっては厳しいのが現状です。
その中でも、黒字化モデルを確立し、売り上げを伸ばしているチームがあります。
今回は、地方でのスタジアム・アリーナビジネスについて長崎、佐賀、福井を例に挙げながら紹介していきます。
建設の現状
Bリーグ、Jリーグ、SVリーグといったトップリーグでリーグ改革が行われ、それに伴いスタジアムやアリーナの規定も見直されています。Bリーグ
Bリーグでは2026‐27シーズンからの新制度の導入に伴い、各ディビジョンへの参入のために厳正なる審査をクリアする必要があります。
審査には、「平均入場者数」「売上高」「ホームアリーナ」等の条件が設けられており、
シーズン開始に向けて続々と参入クラブが決定しています。
Bプレミアへの加入には、収容人数5000人以上、スイートルームの設置、車椅子席の設置などといったアリーナの基準を満たす必要があります。
計画が白紙になったり中断になったりしているチームも少なくありません。

引用元:https://www.bleague.jp/new-bleague/about/
改革に伴い「新スタジアム構想」が挙げられ、スタジアムの基準が設けられました。
J1では、入場可能数が15000人以上という基準が設けられ、
またVAR用エリアの設置やドーピングコントロール室の設置が必須となりました。
各地で基準を満たすための改修工事や建設が行われていますが、
人口減少やコスト削減により計画が白紙になっている地域も少なくありません。
Jリーグ
Jリーグでは、2026‐27シーズンから「春秋制」から「秋春制」へと大幅な改革を実施します。改革に伴い「新スタジアム構想」が挙げられ、スタジアムの基準が設けられました。
J1では、入場可能数が15000人以上という基準が設けられ、
またVAR用エリアの設置やドーピングコントロール室の設置が必須となりました。
各地で基準を満たすための改修工事や建設が行われていますが、
人口減少やコスト削減により計画が白紙になっている地域も少なくありません。
地方での経営が抱える問題
地方でのプロスポーツの経営は難しいと言われ、多くのチームがその問題に直面しています。なぜ、地方での経営が難しいのか考えていきます。
人口減少=サポーターの減少
日本全体を通して、人口減少が進んでいますが地方地域での人口減少は深刻な問題となっています。地域から離れていく人が多く、チームのサポーターの獲得がより困難になっています。
また、選手やチームスタッフといった人材の確保も厳しいのが現状です。
サポーター等の減少により、入場者から得ることができる収入が減少する可能性があります。
また、少子高齢化が進むとユースやアカデミーの活動に影響をもたらします。
経済力
地方地域が抱える問題の中で最も深刻なのは、経済力ではないでしょうか。チームの資本金が少ないため、選手へのサラリーや施設の設備にかけられるお金が少ないのが現状です。
他にも、ハーフタイムでの興行やDJなどの演出にあまり予算をかけられないため、
試合自体のエンターテイメント性にも欠けてしまいます。
また、スポンサー企業においても1社から巨額の資金を貰えることが少ないため多くの地域企業や個人に支えられています。
地域の経済力が少ないとインフラや施設の整備といったチーム以外での維持・管理が難しくなるため、
入場者数に限りが出てしまうということが考えられます。
観客動員の難しさ
地方では、公共交通機関が発達しておらず車社会のため、道路の渋滞が考えられます。
また、県外からの観客が最寄りの駅や空港から長い距離を移動しなければならないという課題もあります。
さらに、車を使うことができない高校生や高齢者などは移動手段が大幅に制限されることが考えられます。
特に、東北、信越地域では冬に積雪が多く移動がよりハードになってしまいます。
飛行機や新幹線などが欠便、遅延することも珍しくなく、現地に足を運ぶ観客には大きな負担になっていると考えられます。常識を覆す黒字化モデル
「地方のプロスポーツは稼げない」という定説を、覆した地方クラブがあるのはご存じでしょうか。
アリーナ・スタジアム経営に挑む、バスケ・バレー・サッカーのトップ経営者についてご紹介します。
V・ファーレン長崎(サッカー)
V・ファーレン長崎はスタジアム建設後、入場者数が年間20万人から300万人、チケット収入は5倍になるほどの成功を収めました。
「サッカーファンでない人に、どれだけチームの存在を知ってもらえるか」
これが長崎スタジアムの建設計画です。
スタジアムというと試合以外の日はゲートが閉まっているイメージがありますが、
長崎スタジアムシティでは常にゲートを開放し誰でも自由に出入りできるようにしました。
また、オフィスや商業施設を併設することでサッカーファン以外にも立ち寄ってもらえるような工夫をし、認知度の向上を図りました。
その結果、人通りの多い場所に広告を掲載できるため、スポンサー企業にとっても広告露出価値が高い施設になっています。
長崎は隣接する県が1県しかなく、訪れにくい場所となりつつありました。
しかし、スタジアム周辺の宿泊施設や商業施設を充実させることにより、宿泊を伴った観戦者が5~10倍に増加しました。
これは固定客からの収入というサッカービジネスの考えを覆した、新規観戦者の獲得成功モデルの一例です。
「サッカーファンでない人に、どれだけチームの存在を知ってもらえるか」
これが長崎スタジアムの建設計画です。
スタジアムというと試合以外の日はゲートが閉まっているイメージがありますが、
長崎スタジアムシティでは常にゲートを開放し誰でも自由に出入りできるようにしました。
また、オフィスや商業施設を併設することでサッカーファン以外にも立ち寄ってもらえるような工夫をし、認知度の向上を図りました。
その結果、人通りの多い場所に広告を掲載できるため、スポンサー企業にとっても広告露出価値が高い施設になっています。
長崎は隣接する県が1県しかなく、訪れにくい場所となりつつありました。
しかし、スタジアム周辺の宿泊施設や商業施設を充実させることにより、宿泊を伴った観戦者が5~10倍に増加しました。
これは固定客からの収入というサッカービジネスの考えを覆した、新規観戦者の獲得成功モデルの一例です。

SAGA久光スプリングス(バレー)
SAGA久光スプリングスでは、選手のトレーニングをメインに行うサロンパスアリーナと、Bリーグの佐賀バルナーズとの共同でSAGAアリーナを経営しています。
SAGAアリーナは、国民体育大会が国民スポーツ大会に代わる記念大会に向けて計画が行われましたが、大会後も長きにわたって県民に夢や希望を与えるという理念のもと計画が進み建設されました。
佐賀県知事の経験を活かし、海外のアリーナをモチーフにつくられたアリーナは、ファミリー席や可変式のトイレなど多様なニーズに対応できる施設になっています。
また、スポーツだけでなく音楽ライブや会議にも対応できるように設計されています。
年間を通して多種多様なイベントを行えるような設計になっており、安定した収入が期待できます。
さらに、自治体との連携も進めており県全体でアリーナをサポートする姿勢が見られます。
行政がスポーツを1つの産業として理解し支援している為、アリーナは大会のために建設するのではなく、未来のことを考えて行政によって建設されました。民間が管理・運営を行いますが、そこでも行政や自治体による手厚い支援が行われています。
今後はアリーナ周辺に、商業施設を増やし地域住民のシンボルとなる施設を目指しています。
福井ブローウィンズ(バスケ)
福井ブローウィンズでは、チームの社会性を最大に高めることで広告収入4億円という驚異的な数字を残しました。
チームのユニフォームにスポンサーロゴを載せないことで、チームがどの企業のものでもないことを主張し、スポンサーが契約しやすい環境を作りました。
これは、自治体が一つの企業からの支援では成り立たないことを十分に理解し、取り組んだ方法です。
アリーナ事業では、行政と協力することで行政と民間の負担を無くしながら計画を進めています。
アリーナ建設計画では、新幹線開通時に利用した資材置き場をアリーナの建設場所にするという計画があります。
この資材置き場は元々公園でした。しかし、この公園をまた公園として利用するのではなく、アリーナにしてしまおうという計画です。新幹線が開通した福井駅からのアクセスも良く、車でも訪れやすい立地です。
周辺の住宅地から離れた場所に建設することで騒音問題の配慮をし、広大な公園も取り入れることで地域住民への利用を促すことができます。
また、バスケ専用アリーナではなくコンサートや部活動への貸出等も計画し、地域とつながりの深いアリーナを目指しています。
さらに、アリーナの運営は民間が行いますが、1年のうち180日程度を行政に買い取ってもらい、県民のために開放できるような計画も立てています。
民間と行政の長所を掛け合わせた計画、管理・運営で地方でのアリーナビジネスの成功モデルになることが期待されます。
地方に必要なこと
これからも建設や計画が進むと予想ができますが、どのような要素が地方でのスタジアム・アリーナビジネスを成功させるカギになるのでしょうか。
先述した内容、そしてアメリカのスタジアム・アリーナビジネスを参考に考えていきます。
多目的な施設
バスケ専用やバレー専用アリーナと、使用用途を制限してしまうとその分、開催できるイベントや試合の数も制限されてしまいます。その結果施設の売上が上がらずに経営が困難になってしまいます。
そのため、コンサートでの使用やSAGAアリーナのように会議での使用といった多様なイベントや行事で使える施設を計画していくことが必要になります。
スタジアムでは、巨大ビジョンや音響を活かしたライブやコンサートでの使用、さらに災害時の避難場所になるような「まちの核
」になるような計画が必要になります。
アメリカでは、バスケットコートとアイスホッケーのリンクを1つのアリーナで作ることができます。
また、スポーツでのエンターテイメント性が高いため、コンサートやライブにも多く使用されます。
複合的な施設
スタジアム・アリーナ単体での経営は、試合やイベントに参加する人しか集客することができず施設の存在やチームの存在を知ってもらう機会が少なくなってしまいます。
長崎スタジアムシティでは周辺の商業施設への集客が成功したため、一般のお客様にもチームの存在を知ってもらうことができ試合への来場者数が増加しました。
周辺施設を充実させることにより、施設に足を運ぶ人が増えチームの存材がより多くの人に知ってもらえるようになりました。
さらに宿泊施設が近くにあることで、県外からの来場者の移動の負担が減り、長崎スタジアムシティで食事やショッピングもできるため、試合以外でも楽しむことができるようになりました。
行政との連携
長崎スタジアムシティはジャパネットホールディングスによる民設民営ですが、SAGAアリーナは公設民営、福井アリーナも公設民営での計画を進めています。
佐賀では県知事をはじめ行政がスポーツ産業への理解があり、それにチームが還元することで行政との関係性を築いていると考えられます。
福井ではチームやアリーナの社会性を高めることで、より多くの自治体からの支援を仰ぎ、資金を集めています。
さらには、契約している地元企業のフェスを開催し地元企業が自由に活動できるような場を設けるなど、地元企業とのつながりを大切にしています。
アメリカでも公設民営のスタジアム・アリーナは少なくありません。
ミネソタ州のUSバンクスタジアムでは、10億ドル以上の経済投資が行われホテルやオフィスなどの施設が建設されました。
スタジアム建設により、8000人以上の雇用機会を生み出し、建設費は300以上の地元企業に返還されました。
開業後は高いイベント開催率をい維持し、地元住民の雇用や地元企業の採用を積極的に行い、経済効果を生んでいます。
行政だけでは管理運営が厳しく、民間だけでは建設費の調達が難しいのが課題です。
しかし行政と民間が協力することで、資金の負担も軽減でき、多種多様なイベントに使用することができます。
まとめ
いかがでしょうか。
スタジアム・アリーナ建設には様々な課題がありますが、それを解決することも可能です。
今後、様々な地域でスタジアム・アリーナが新設され日本各地がスポーツそしてイベントで盛り上がることが期待できます。
また、スタジアム・アリーナ巡りといった新しい観点からも楽しむことができるのではないでしょうか。
参考元
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